スウェーデンのモタラという静かな湖の町に、ひとつの小さな工房がありました。
その名は Norrmans Keramik(ノーマンス・ケラミック)。
そこで長い年月にわたり、温かみのある陶芸作品を生み出し続けたのが、
陶芸家ベース・ノーマン(1919–2001) です。
ノーマンの作品を手に取ると、どれも “ やさしい時間 ” が流れているように感じます。
派手さや緊張感とはまったく無縁で、穏やかで、どこか牧歌的。
彼が見てきたスウェーデンの森や青い湖、そして素朴な暮らしの風景がそのまま形になったような、
やわらかい佇まいが特徴です。
ノーマンは1956年、37歳のときに工房を立ち上げました。
大きなアート作品を作るためではなく、
“ 毎日の暮らしにそっと寄り添う、温かなものをつくりたい ”
という想いがあったと言われています。
そのため、彼の作品には決して気取ったところがありません。
丸みを帯びたライン、どこか少し不揃いで、それがむしろ心地いい形。
釉薬のかかり具合にも揺らぎがあり、ひとつひとつに小さな個性が宿ります。
どれも生活の景色をやさしく彩るための「日々の道具」でもあり、
同時に「小さなアート」と呼びたくなる作品ばかりです。
ノーマンの代表作のひとつに、フクロウや鳥などの動物モチーフがあります。
彼が動物たちを “ 観察するのではなく、寄り添うように見つめていた ” ことがよく表れています。
・つぶらな瞳
・ぽてっとしたフォルム
・素朴なのにどこか誇らしげな姿
まるで森の中で出会った小さな生き物と、目が合った瞬間のようなやさしい気配。
ノーマンの動物作品には、そんな物語性があります。
陶器でありながら、まるで “ 息づかい ” が聞こえそう。
それが、ノーマン作品に惹かれる最大の理由かもしれません。
ノーマンの作品は、どれも強く主張するわけではありません。
しかし、部屋に迎えると空気がすっとやわらぐ不思議な魅力があります。
・疲れた時にふっと目が合うフクロウ
・壁にかけるだけで静かに華やぐトリの陶板
・手仕事の揺らぎに包まれた優しい釉薬
その “ 静かなぬくもり ” は、北欧の暮らしが教えてくれる豊かさそのもの。
BOLIGが大切にしたい価値観と、どこか重なっています。
ぜひ店頭で、ノーマンの作品の持つ空気感を感じてみてください。
ひとつの作品が、毎日の景色を少し温かくしてくれるはずです。