真っ白な器に描かれた藍色のお花は、まるで蝶が舞っているかのよう。
ついつい「わぁ、可愛い!」と、声に出したくなるテーブルウェア。
清楚で可憐なこちらの食器は、スウェーデンの「Rorstrand (ローストランド社)」から1952-1987年に製造された「Mon Amie(モナミ)」シリーズ。
Rorstrandの数あるシリーズの中でも最も愛されるシリーズで、
国際的な展示会で金賞5回、銀賞を1回受賞しています。
「Mon Amie」とはフランス語で「友だち、恋人」の意味。
大切な人への親愛の情を込めたデザインなのでしょうか。
気の置けない者同士の止まらないおしゃべりが弾む空間を思わせる、
温かくて和やかな雰囲気をまとっています。
こちらをデザインしたのはMarianne Westman(マリアンヌ・ウェストマン)。
1928年、スウェーデン生まれの彼女はKonstfack大学でデザインを学び、
Rorstrandへ入社。彼女がデザインした「Mon Amie」「Picknick」「Red Top」といったテーブルウェアは、当時のRorstrandの売り上げの半分以上を占める人気でした。
その成功により、彼女は仕事仲間から“陶器の母”と呼ばれていたそうです。
中でも一番のロングセラー「Mon ami」は、女性ならではの視点で生み出されたもの。
4枚花弁のモチーフは、雨の降る夏至の夜に咲くローズマリーの花からインスピレーションを受けたと言われています。
クラシカルでありながら、妖精たちが飛び交うようなチャーミングな世界観。
ブルーの花の心和む空気感と、「Mon ami」という言葉が持つ愛にあふれるイメージ。見ているだけで幸せな気持ちをもたらしてくれる特別なテーブルウェアですよね。
「Mon ami」シリーズは2009年、Marianne Westmanの80歳を記念して、彼女自身の手でリデザインされた現行シリーズも販売されていますが、こちらは当時の貴重なオリジナル。
やや滲んだ藍色の濃淡は、ヴィンテージならではの美しさと味わい。
柔らかい曲線を描くエレガントなフォルムも、当時を忍ぶものがあります。
窯元のRorstrandは、スウェーデン王室御用達として1726年に創業したヨーロッパで2番目に古い歴史を持つ陶器メーカー。
ノーベル賞の授賞式後の晩餐会で同社の食器が利用されているのも有名な話です。
2005年にはフィンランドのイッタラの傘下となりましたが、その後もブランドを存続し、300年にもわたって格式高い製品を生み出し続けています。
ティーカップやコーヒーカップは小ぶりで、日本の食卓でも使いやすいサイズ。
上品な深い藍色のプレートは、和食とも相性が良いですよね。
おにぎりとお漬物なんかをサッと載せても、トンカツとキャベツでも、
何でも受け入れてくれる懐の深い器。本当に絵になるので驚きます。
器自体に美しさと有機的な生命力が宿っているからこそなのでしょう。
一つ一つハンドペイントで彩色されているので、
インテリアとして飾っておきたくなる唯一無二の存在感。
ティーポットには季節のお花を生けたり、お皿を壁に飾っても素敵です。
お部屋にあるだけで、なんだか他愛のないおしゃべりが聞こえてきそう。
世界中を魅了した名作ヴィンテージと共に、ほっと一息はいかがでしょう♪